東京でジュエリーショップを経営し、自身の店舗と大手百貨店の支店を構えながらも、高知へのUターンを決意した浪上依里さん。
2021年8月、「株式会社DONUTS」にBUNTANを利用して転職されました。
IT業界未経験でインサイドセールスとして入社し、契約件数は歴代ナンバー1の記録を持っています。
そんな異色の経歴を持つ浪上さんに、未経験の業界に飛び込んだ経緯や自身が大事にされている生き方・働き方について伺いました。
憧れの東京で会社を経営 仕事に情熱を燃やした20~30代
――浪上さんは高知のご出身だそうですが、県外に出たのはいつ頃ですか。
浪上さん:私は中土佐町久礼の出身ですが、高校卒業と同時に大阪の専門学校に進学し県外に出ました。
昔から東京に行きたい気持ちが強くあり、会社では事あるごとに「東京に行かせてほしい」と希望を伝えていました。
その会社は海外のメンズアクセサリーの代理販売会社で、色々なブランドの商品を輸入し、百貨店などに販売していました。
あるとき東京に店舗を出すことになり、ブランドマネージャーに抜擢されてついに東京行きが決まったんです。
そこからは怒涛の日々で、数店舗のお店を軌道に乗せて一定の規模にするまで8年ほど夢中で働きました。
――ご自身で起業されたのは、いつ頃のことだったんですか。
浪上さん:29歳のとき、自分の力を試したいと考えるようになり、ふと会社を飛び出して自分で事業をしてみたいと思い立ち、独立開業しました。
前職と同じジュエリー関連の仕事で、女性向けのパーティーアクセサリーを扱う身飾品の会社です。
商品は自社でデザインした完全オリジナルのものを日本国内で製造・販売し、表参道に自社店舗が1つと、のちに銀座の百貨店にも2店舗目を出しました。
世の中の変化を受けて会社経営に疑問を持ちはじめる
――東京での会社経営はかなり順調だったのですね。
浪上さん:確かに、自分の好きなものづくりに熱中できて、お客様に喜んでいただける仕事にはやりがいがありました。
けれど2013年頃から、世の中の流れと自身の生き方に対する考えが逆行していると感じ始めました。
地球環境問題に注目が集まり、「持続可能であること」が求められるようになってきたんです。
「私の生き方・暮らし方は持続可能じゃないような気がする・・・これからの時代の流れと変化に合っているのだろうか・・・何かが違う」と思うようになりました。
――ここ数年では当たり前に使われる「サスティナブル」という言葉ですが、浪上さんはもう2013年の時点でそこに着目していたことに驚きました。
浪上さん:私が本当にやりたいことやものづくりって、これなのかな?と自問自答するようになりました。
そうして最終目的として自分の会社がどこに行きたいのかを考え始めたのが、2015年頃のことです。
とはいえ、ブランドを愛してくださるファンの皆様や雇っているスタッフもいる中ですぐには決断できず、会社を続けるかどうかすごく苦しんだ数年間の時期でしたね。
――たくさん悩んだ結果、妊娠をきっかけに事業転換する事を決断したんですね。
浪上さん:はい、2018年に会社経営から個人事業主に移行し高知に戻ることにしました。
その一番の決め手は子供を妊娠した事でした。
東京である程度の立場とステータスがあり、欲しいものは目の前にあるはずでした。
でもふと、お金や目に見えるものの「量」じゃなく、心の豊かさの「質」を高めたいと思い始めたんです。
我が子のためにも社会に貢献できて、心の豊かさを実現できる仕事・生活をますます手に入れたいと思うようになりました。
持続可能なライフスタイルに切り替えるのなら、暮らしそのものを見直す必要があるのでは・・・故郷・高知の環境であれば自然と共に仕事を暮らしの一部として取り入れ、持続可能な暮らしを作っていけるのではないかという発想に変わっていったんです。
出産後、高知に移住し、一軒家を買い、まずは安心して暮らせる豊かな環境を手に入れました。
BUNTANの地方創生広告でDONUTSに出会い「これだ!」と即決
――高知に戻ってからは、どんな生活をしていたんですか。
浪上さん: 持続可能な生活の基盤を作るために、農業に取り組みました。
子供や未来のために家庭で消費する食べ物の供給を家庭内でまかなえた場合、日本にとって大きな自給率向上に繋がります。
ひたすら土を耕して種をまき、どれくらい実るのか、どこまで自分たちで作り込めるのかと色々試しました。
仕事の面では当初はWEBデザイナーや、IT関連とジュエリーとを結びつけた仕事として個人活動しようと思っていました。
IT関連の仕事なら、前職でのデザインやディレクション能力を活かしながら、将来長い期間にわたって働き続けられると思ったからです。
そして生活がある程度整った2021年、友人のSNS投稿からBUNTANの記事に出会いました。
――DONUTSの地方創生の記事ですね。最初見たときはどんな印象を持ちましたか。
浪上さん:これは絶対に高知の未来のためになるプロジェクトだと確信しました。
都会で20年暮らしたあとに地方で定住するのは、やはり高知が大好きだからです。
東京のDONUTSという会社が高知にやってきて、高知県としても喜んでいる。
高知県としてのお金も動くし雇用も生まれる、それは地元のためになることですよね。
「私の暮らし方の目標の一つには高知を私達の世代から活性化すること」だと考えていましたから、そのための仕事ならぜひやってみたいと思いました。
――入社の決め手となったポイントはどの部分ですか。
浪上さん:それはやはり、社会貢献性があることと、私が培ってきたプロデュース能力が活かせると思ったからです。
新事務所の立ち上げと会社経営の経験が繋がった瞬間でした。
さらに、「“100名規模のバックオフィス業務を1名でできる環境”を実現するクラウドERPシステム」というジョブカンのコンセプトにも強く惹かれました。
自分自身、会社経営を体験していたからこそ、バックオフィスの効率化は利益の確保に直結するイメージがすぐ連想出来ました。
多くの企業を活性化させる事は私がずっと想い続けてきた、持続可能な未来を目指すことにつながると感じたんです。
インサイドセールス実績の記録を更新 社会貢献できる仕事へのやりがい
――DONUTSで過去最高のインサイドセールス記録を樹立されたそうですね。
浪上さん:DONUTSの全事業部の中で、高知オフィスが2021年のMVPを受賞しました。
インサイドセールスでジョブカン始まって以来の新記録に到達したからです。
私がインサイドセールスをしているジョブカンは、給与計算や勤怠管理をデジタル化し、企業の雑務を減らして利益を確保するためのシステムです。
全国の多くの中小企業をデジタル化して業務を効率化できるだけでなく、働く人の能力を最大限発揮できる時間も生み出せる。
今まで雑務にかかっていたコストを違うものに使って、それぞれの企業がより良いものを生み出すきっかけになるものです。
私は「ジョブカンを広めることは日本を良くすることだ」と思って、日々の仕事に取り組んでいます。
――お子様の関係で時間の制約がある中でも結果を出されているのはとてもすごいと思います。
浪上さん:私は、子どもがいる方がセールスの結果は伸びると思います。
なぜなら、働ける時間が限られていて集中できるからです。
子育てをしながら仕事をするときに一番大事なのは、始めから終わりまでのタイムテーブルをいかに整理してコントロールできるか。
そして、効率的に動く為に使える武器はとことん使うことです。
たとえば私の場合だと、オンライン商談は絶対に30分以内と決めていますし、電話の回数は他の社員に比べて圧倒的に少ないです。
でもその分、メールをフル活用してセールス活動をしています。
メールならタイマーがかけられるので、お客様がよくメールを見る時間帯に合わせて送ることができます。
そういった便利なツールを使いこなしながら、効率よく仕事を進めることを心がけていますね。
――お仕事をバリバリこなす浪上さんですが、オフの日は何をして過ごしていますか。
浪上さん:休みの日は子どもと過ごすか、農業をしています。
農業は4年目で、今は年間20種類ほどの作物を作っていますが、かなりコツをつかんできて色々なことが要領よくできるようになりました。
子どもが収穫を手伝ってくれることもあります。
家庭で出た生ごみを畑の肥料にしているのですが、ゴミを地球に返すことを通して、子どもに持続可能な暮らしを体験させています。
物を大切にし再生させる力をつけさせたいと思っています。
目指すは100人の雇用創出!DONUTSを高知のIT産業のモデルカンパニーに
――浪上さんが、これからの高知オフィスで実現したいことは何ですか。
浪上さん:高知オフィスで100人の雇用を生み出し、ジョブカンのインサイドセールス機能をすべて高知で完結できる未来を作りたいです。
100人はただの数値目標ではなく、質が高いプロフェッショナルな人材を育てたいと思っています。
持続可能な人材の育成も私の持つミッションと重なります。
私はどのような形でも社会に貢献できる仕事であるかどうかを常に考えて行動しています。
それが母親である以上娘に見せたい背中でもあるからです。
そのような目線から、仕事をただ労働のとして考えるのではなく、仕事は暮らしの一部であり自ら意欲的に世の中を変えていきたいと考えられる人を育てたいです。
高知オフィスで100人の雇用が生まれれば、ジョブカンを通して社員が持つそれぞれの家庭に利益循環ができます。
さらに、時代に合ったITという産業を高知県で育てることにもつながります。
当社のような会社が高知にできることは、未来の光になるんじゃないかなと思っているんです。
DONUTSがそのモデルケースになれるのが、一番の理想の姿ですね。