2020年3月に設立以来、凄まじい成長を続けている株式会社パンクチュアル。
代表取締役の守時さんは、元須崎市役所職員でさまざまな功績を残してきました。
2013年にご当地キャラ「しんじょう君」の生みの親としてをのプロデュース運営を開始し、ブログやツイッターなどで注目を集め、2016年のゆるキャラのグランプリで1位を獲得。
さらに、2014年には200万円だった須崎市のふるさと納税寄付額をたった1年で6億にまで伸ばしました。独立後も須崎市から業務委託を受け、2020年には21億円を達成し、中四国で1位を獲得しました。
また、高知の特産品を扱うECサイト「高知かわうそ市場」を立ち上げ、創業1年目にして売上は8億円を突破するなど、今大注目の高知県須崎市発のベンチャー企業です。
今回はパンクチュアル代表取締役の守時さんと社員の塩見さんにお話を伺いました。
目標は「稼げる地方」を創り地方創生を成し遂げること!
代表の守時さん
ーーパンクチュアルの事業内容を教えていただけますか?
守時さん:しんじょう君の運営とふるさと納税事業の受託、あとはEC(インターネット通販)事業ですね。
ーー市役所を退職して独立起業したとのことですが、どういった想いで起業されたのでしょうか?
2年前まではに須崎市役所に勤めていたのですが、その時の仕事はしんじょう君という須崎のゆるキャラの運営やふるさと納税の担当でした。
市役所の中でも非常に特殊なこの二つの仕事をやっていたので、7年くらい異動もなくずっと担当させていただいていました。
でも、私以外の職員は異動などで数年ごとに変更になるわけで、そうなるとこれ以上専門性を持って人材を育ててより町を発展させるのって難しいと感じていたんです。
今はふるさと納税の業界も巨大企業が参入して切磋琢磨を繰り広げています。
そんな企業たちと渡り合って、町をもっと発展させるためには、自分が起業するしかないと思って起業しました。
「公務員になれば座っていたら給料がもらえる」って噂を聞いてて頑張って公務員試験突破したのに(実際は全くそんなことなかったですが)…という気持ちはありつつの起業ではありましたが・・・(笑)
ーー起業してからは順調でしたか?
守時さん:会社を設立してすぐにコロナ禍になりました。誰も経験したことがない未曾有の状況での起業になってしまいました。
でも、コロナ禍でも工夫をして活動してなんとか軌道に乗りそうな雰囲気がしてきたとき、市役所から「漁師さんの魚がコロナで売れなくて困ってるから売ってあげてほしい」と言われて、急遽地元の産品を販売するECサイトを作って、しんじょう君と一緒に宣伝しました。
しんじょう君のツイートもバズって、3日で1億ほど売り上げました。
そこから生産者さんを助けるために活動している会社にもなりましたね。
独自のノウハウで人口2万人の町が中四国で1位!
塩見さん
ーーふるさと納税の事業内容について詳しく教えてもらえますか?
守時さん:町からふるさと納税の業務全般を受託しています。
事業者様を回って、商品を企画したりブラッシュアップしたりですね。
塩見さん:あとはふるさと納税の日常業務として、寄付者様からの問い合わせ対応、寄付されたときに届く受領書の発行と郵送などの事務作業もありますね。
ーー社内外でそれぞれ仕事があるんですね。
ふるさと納税の返礼品のプロデュースをすることもありますか?
守時さん:はい、ふるさと納税の文脈にあった商品の企画等をやっています。
塩見さん:ふるさと納税で売れる商品とECで売れる商品って全然違うんですよね。
ーーどう違うんですか?
守時さん:色々とあるんですが、それは企業秘密で(笑)
ーーパンクチュアルさんならではのノウハウがあるんですね!
守時さん:ノウハウがないと、人口2万人の市が中四国1位にはなれないと思いますね。
塩見さん:もともと須崎市のふるさと納税は200万円ほどしかなかったんですが、守時さんがしんじょう君とPRをし始めて、6億までいったんです。
守時さん:そうですね。200万円から次の年が6億、10億、11億、という感じです。
パンクチュアルでふるさと納税業務を受託した昨年の須崎市の寄付額は、約21億と中四国で1位でした。
ーーそうなんですね。ふるさと納税に関しても、いろんな自治体と関わっているんですか?
守時さん:そうですね。今は高知県以外には3県ほどの自治体さんから委託をうけてます。
今後も増えていくんじゃないかと思います。
ーー事業内容としては、他にやられていることはありますか?
守時さん:インターネットのサイトを作ったりとかもしています。
今日もこれからラーメン屋さんのサイトを作ります。
あとはイベント企画などを任されることもありますね。
ーー幅広いですね。依頼は自治体から来ることが多いんですか?
守時さん:自治体も多いですし、企業や個人の方からも来ます。
営業しなくてもお仕事をいただけている状況なので、営業はしたことがないですね。
”何もない町”と言われていた須崎市を変えたかった
ーー守時さんは須崎へ移住されてきたとのことで、どうして須崎を選んだんでしょうか?
守時さん:たまたま旅行で須崎の新子まつりに行ったら、酔っ払って踊りながらステージに乱入して警備員に連れて行かれるおばあちゃんを見て、「ここなら大学生活の続きができる」と思いました。(笑)
そこからノリで市役所の試験を受けて就職しました。
当時の須崎は“何もない町”なんて言われていて、みんな「この町は終わってる」と言っていました。
とはいえ、自分で動かないと状況って変えられないですし、「これから町を盛り上げていくには情報発信しかない」と考え、SNSとゆるキャラ使って発信していくことを企画しました。
ーー市役所に入ってから最初にされたことはなんですか?
守時さん:まずはしんじょう君を企画提案して誕生させました。
そこからしんじょう君と一緒にイベントにたくさん参加したりして、日本全国いろんなところに出張して須崎のPRをしました。
たくさんのファンのみなさんにも恵まれ、2016年にはしんじょう君はゆるキャラグランプリで全国のご当地キャラの中の一番になれました。
“何もない町”と言われていた町から全国一位のキャラクターが誕生させることができたことは本当に嬉しいことです。
年商約10億を達成し、数々の賞を受賞
塩見さん:去年は、高知地場産大賞地場産賞と、コロナウイルス感染対策特別賞の2つの賞をいただいたのと、年商が約10億となりました。
創業1年目で10億近く売上げる年商の会社はあまりないみたいで、周りから驚かれましたね。
ーー今パンクチュアルの社員は何人いらっしゃるんですか?
守時さん:正社員だと8人くらいで、外注も含めるともう少し多いです。
試用期間を半年設けているので、今試用期間の社員もいます。
本社オフィスの様子
ーーみなさんこのオフィス(須崎)に出社されるんですか?
守時さん:須崎と他の事務所や、オンラインで出社している社員もいます。
ーーパンクチュアルという社名に込められた意味や由来があれば教えてもらえますか?
守時さん:Punctualは(時間に正確な)という英単語で、Google翻訳で中国語に訳して見ると、守る時間と書いて「守時」になるんですよ。
そういう一発ギャグです。(笑)
会社名を考えるときに「もっと地方で働きたいって思える若者が増えるように」ってことで横文字のイケてる感じにしたかったのと、地方の会社って、横文字かローマ字しかないなと思って、我々は一発ギャグで行こうと。
ーーおもしろいですね。働いている環境や社風はどんな感じですか?
守時さん:それぞれの個性を生かして和気あいあいとしていますよ。
ーー社内で事務作業をする時間と外で作業する時間の比率はどうでしょうか?
守時さん:人によりますね。僕はオフィスには全然いないですし。
どちらが多いかは職種によって変わってきますね。
世界と戦える田舎を創りたい
ーー将来こうしていきたいなど目指しているものはありますか?
守時さん:長期的には地方創生や持続可能な社会を創らなければならないと思っています。
東京に一極集中していることが悪いとは思わないですが、世界と渡り合い続けるためには、地方が元気じゃないと無理だと思っているので、我々は一心不乱に世界と戦える田舎を創っていきたいと思っています。
そのためには、単純ですが、すごく稼ぐ会社を作っていくべきだと思っています。
短期的にいうと、ふるさと納税やEC、情報発信の分野だと思っていて、ECも好調で去年は8億ほど売り上げたので、今後も力を入れていきたいですね。
求める人材は、ベンチャーならではの環境を楽しめる人
ーー求める人材についてですが、具体的にどの分野のどんな人に来てほしいなどありますか?
守時さん:一番はマーケと広告運用ができる人に来てもらえるとうれしいですね。
あとは、事業者様を回って、関係性を作って写真を撮ってアップしていく作業をやってくれる人に来てほしいです。
事業者様との対話から新しいアイデアが浮かんだりもするので、コミュニケーションが好きな人には楽しい仕事だと思います。
アクティブに動ける人だとありがたいです。
ーー事務作業など定型の仕事はあると思いますが、すべての作業が決まっているわけではないんでしょうか?
守時さん:そうですね。完全に決められたルーティンワークだけってものはありません。
なので、臨機応変に対応できる人がいいですね。
創業して間もないので、やりたいことはやりやすい環境だと思います。
僕は提案に対しては、「はい、どうぞ」としか言わないので(笑)
塩見さん:言われたことだけやるのではなく、自分でこういうことがやりたいと言える主体性がある人がいいですね。
ーースキルや経験はどの程度あればいいですか未経験でも大丈夫でしょうか?
守時さん:求める人材によって違いますね。
ECサイト運営などの経験がある人には本当に来てほしいです。
あとは写真が撮れて文章が書けてある程度のITスキルがあれば問題ないです。
塩見さん:学ぶ姿勢がある人にはしっかり教えますしね。
ーー採用人数はどれくらいを考えていますか?
守時さん:5〜7人くらいですね。
ーー会社のアピールポイントや他にはない制度などはありますか?
守時さん:結果を出せばOKなので、ゆるい雰囲気ですね。
出張が多いのでいろんな場所に行けます。国内だけでなく海外もありますし。
ーーすごいですね。いろんな場所に行けるのはいいですね。
福利厚生に関してはどうでしょうか?
守時さん:ベンチャーなので、福利厚生に関してはこれからですね。
塩見さん:いろいろ急ピッチでやっているところです。
守時さん:新しい制度を自分で作っていきたい、理想の会社に近づけたいという想いがある人にとっては、いい会社だと思いますよ。
給料や昇進に関しても一般的なの会社より魅力的だと思います。
塩見さん:キャリアアップとか実績はしっかり作れる会社だと思いますね。
ーーベンチャーならではですね。
塩見さんから見るパンクチュアルとはどんな会社かお聞きしてもいいですか?
塩見さん:結論からいうと、すごい会社ですね。
僕はもともとフリーランスとしてしんじょう君のブログとかのお手伝いをしていたので守時さんとは関わりがありました。
守時さんが独立すると聞いて、その流れでパンクチュアルに入社しました。
会社ができる前には「2〜3年後に地元ECをやって、事務所にもお店を開いてしんじょう君のグッズを売れたらいいよね」なんてと言っていたんですが、気づいたら2ヶ月後には全部できていました(笑)
それだけスピード感に溢れた会社です。
じつは、この事務所も借りた時はすごいボロボロだったんですが、クラウドファンディングで寄付をいただき、改装することができました。
クラファンの目標金額は当初は100万円だったんですが、なんと1,000万円ほど集めることができて、もうそこからパンクチュアル伝説が始まっていますね。
ECに関しても、できたばかりの通販サイトで3日で1億というありえない数字を叩き出しました。
守時さんのもともとの凄さもありますが、全国から優秀な人が創業メンバーとして参加しているので、守時さんがやりたいことをスピード感をもって実行できていると思います。
ーー初期メンバーのみなさんが、守時さんがやりたかったことを一気に進めたんですね。
プライベートの過ごし方は?
ーープライベートのことも少しお伺いできればと思います。
守時さんはお忙しくてプライベートと仕事の境目があまりないとは思うんですが、休みの日や隙間時間には何をされているんですか?
守時さん:経営者ってみんなそうだと思うですが、孤独だし怖いし不安だらけです。
まとまった休みがあれば、事業をどうしようかと考えるんじゃないですかね。
ーー常に張り詰めた状況で何をしているときが癒やされますか?
守時さん:1時間手が空いたらピアノの練習したり本を読んだりします。
あとはお酒を飲むことですね。
ーーお酒は毎日飲まれるんですか?
守時さん:アル中ですね。(笑)
でも昼からはいかなる理由があっても飲まないと決めています。
ーー塩見さんは休みの日は何されていますか?
塩見さん:アウトドアが好きなので山歩きとか狩猟とか射撃場に行ったりとかですね。
ーー高知に射撃場あるんですか?
塩見さん:結構ありますよ。
ーー実際に山に行って狩りもするんですか?
塩見さん:しますよ。イノシシとかシカとか鳥とか。
あとは仕事をいろいろ効率化したくて、プログラミングの勉強とかもしていますね。
ーー忙しいとはいいつつもお休みはしっかりあって、楽しまれているんですね。
結構自分の裁量で休むときは休んで、やるときはやるという感じなんですかね。
塩見さん:それで結果出せる人ならいいんじゃないって感じですね。
守時さん:出張も多いし自由度も高いので、主体性がありやる気のある人には楽しい会社だと思います。
課題と今後について
ーー今後の課題やこういうふうにしていきたいなということはありますか?
守時さん:手をつけられていないところが全体の8割ほどですから、やることは山積みです。
塩見さん:一番でいうと、仕組みづくりですかね。会社規則も今作っているところです。
守時さん:勤怠管理やもこれから実装に入るところで、有給制度など、社内を整備していとかも作らかないといけないですね。
ベンチャーなので、そんな制度とかどうでもいいからどんどん稼ごうという時期であることは間違いないんですが、今後のことを考えるとちゃんとしていかないといけないと思うので、成長スピードとのバランスがむずかしいところですね。
塩見さん:今まではとくにルールを決めなくても各自でできていたことも、これから人が増えることを考えると、ルールや仕組みを作ることが必要かなと思いますね。
事業でいうと、今後も地域密着でやっていきたいですね。
地域の人の困りごとを自分たちの力を使ってなんとかしていきたいと思っています。