水と森のふるさと高知県土佐町。
四国の中央部に位置し、日本三大河川「吉野川」の源流地域にあり、東部には「四国の水がめ」として早明浦ダムが位置しています。
そんな自然あふれる土佐町の元小学校を活用した「シェアオフィス相川」へ2019年7月に設立した「株式会社アルファドライブ高知」。
親会社は、東京本社で企業内新規事業開発の支援サービスを提供する「株式会社アルファドライブ」。
「なぜ高知で子会社?」「なぜ土佐町?」「なにをしているの?」
今回は、アルファドライブ高知の代表を務める、宇都宮さんへお話をお伺いしました。
土佐町でアルファドライブの合宿を行った時の写真 宇都宮さんのFacebookより引用
アルファドライブの想い、何をしているのか
ーアルファドライブさんは何をされているのか教えてください
宇都宮さん:一言で言うと、新規事業の立ち上げを支援をしています。
現在は主に、東京にある大手企業さまの新規事業として、提案制度を一緒に考え、制度運用を支援したり、すでにある事業を更に成長させる為の支援をしたりしています。
ーなぜそのような事業をされているのでしょうか?
宇都宮さん:設立の経緯から言うと、アルファドライブの代表である麻生がリクルートに在籍していた時に、「Ring(リング)」という社内の新規事業提案制度を統括をしていたことに関係します。
約1500件の提案一つ一つを審査して、審査を通過した起案チームがアイデアを事業化させるまでの伴走支援と仕組みづくりをしていました。
そこで培った新規事業の立ち上げノウハウを世へ提供することで、「新しい価値の創造をする手助けができるのではないか」という想いから今の事業が始まりました。
ー新規事業の立ち上げというと、優秀な人がする、ハードルが高いイメージがあります。
宇都宮さん:アルファドライブは「どんなサラリーマンでも、社内起業家として覚醒できる」という考えをサービス思想の根底に置いています。
リクルートという会社は新規事業が得意な会社ですが、その中で「天才だけが新規事業を立ち上げたのか」というと、決してそんなことはありませんでした。
どっちかと言うと、「どうしてもやりたい!」「この人を助けたい!」そんな強い想いを持っている方が、必要なスキルを身につけながら事業を実現させていったケースの方が多いです。
なので、どんな人でも新規事業開発ができるようになるという考えで、できるようになってもらうためのマインド醸成からスキル獲得までを支援しています。
ーなるほど。日々働きながら「これをしてみたい」や「こうできたらいいのに」と思うことはよくある事と思いますが、どう進めたら実現できるのかわからず、結局一歩踏み出せないで悩みを持つ多くの人がいる気がします。
宇都宮さん:そうなんです。なので、新規事業開発に取り組んでいる企業さまそれぞれの、うまく進められない原因を一つ一つ解消していき、新規事業が生まれ続ける会社になってもらえるようサポートしていきます。
アルファドライブ公式HPより引用
「アルファドライブ高知」について
ー宇都宮さんがアルファドライブへ参画された背景について教えていただけますか?
宇都宮さん:はい、もともと自分もリクルートで働いていたんですが、愛媛県の田舎町出身ということもあり、「地方が廃れていくのをどうにかしたい」という課題意識を持っていました。
一方で、なかなか機会を見つけることができず悶々とした日々を過ごしていたところがありました。
そんな時にご縁があり、高知のIT企業“株式会社SHIFT PLUS”に誘ってもらい、「自分自身の地方に対する想いを実現する機会としてまたとない」そう思い転職を決めました。
SHIFT PLUSでは新規事業開発部門の責任者として、2つの新規事業を立ち上げるお仕事をさせていただきました。
新規事業開発に取り組む中で成功することもあれば、同時に多くの失敗も経験しました。
事業コンセプトの検証が曖昧なままサービスの開発を進めてしまったり、新規サービスの追加投資や撤退の基準について経営陣と合意できていなかったり。
一番の失敗は、事業戦略が楽観的すぎて、事前に事業撤退を想定して初期のお客さまと会話ができていなかったことです。
実際にあるサービスの事業撤退が決定された時に、サービスを導入してくださっていたお客さまには大変な迷惑をかけてしまいました。
振り返ってみると、「知っていれば回避できたこと」が多くあったと思います。
なので、アルファドライブに入ってこの仕事を始めた理由の一つとして、「自身の経験から、新規事業開発に取り組む人が、同じ悩みに苦しまないようにしたい、同じ失敗をする方を減らしたい。そして、新規事業を立ち上げていく面白さや成功を体験してほしい。」という想いがあります。
ーこれから新規事業に挑戦する方にとっては、ご経験豊富な宇都宮さんがとても心強い存在になりますね。
話は変わりますが、アルファドライブとは別に「アルファドライブ高知」として立ち上げられましたが、どんな位置付けなのでしょうか。
宇都宮さん:アルファドライブは、東京を中心とした大手企業向けのサービス提供ですが、「アルファドライブ高知」は、地方の中小企業様を主に支援させていただくことを考えています。
日本全体で見ると大手企業よりも中小企業の方が多いですし、特に地方では中小企業の数やそこで働く人の数が多いです。
アルファドライブ高知の活動を通して地域活性化、ひいては日本の活性化へ繋がれば良いなと思っています。
ーなるほど。この競争社会において「新規事業に挑戦したい!」と思っている会社さんは多そうですよね。
宇都宮さん:はい、地方でも新規事業をやりたいけど実際に取り組めていない企業さまが多いと思います。
原因は様々だと思いますので、まずはその原因を一緒に紐解いていくことからできればと思っています。
あえて高知で仕事をするワケ
ー前職から離れる上で、東京へ戻って仕事をするという選択肢があったと思います。
あえてまた高知で仕事をする理由は何でしょうか?
宇都宮さん:単純に高知が好きだから、ということと、仕事をする場所として「おもしろい場所」と思ったからです。
ー具体的にどんなところでしょうか?
宇都宮さん:県外から来た自分をすぐに仲間に入れてくれるような温かい県民性もそうですし、生活環境が良く、ご飯が美味しいところもそうです。
また東京と比べてスキルや経験のラベルの重複が少ないので、仕事のチャンスも回って来やすいと感じます。
今では、「起業支援のことなら宇都宮さん」のようなイメージを持っていただいて、これまで経験のない仕事をやらせていただくことも良くあります。
高校の授業の講師とか。
また、自分自身が新しいことにチャレンジしようとすると、いろんな方から「協力するよ」とお声掛けいただいたり、応援いただけるので、主体性を持って仕事をするのにとても良い場所だと考えています。
入居する建物のすぐ側には川がありました
ー中にいると気付かない高知の良さかもしれませんね。
高知をこうしていきたい!こんなことができたらいいな!というような考えや想いは何かありますか?
宇都宮さん:大前提として、高知は福岡や神戸のような発展を目指す必要はないと思っていて、高知は高知らしく成長できればいいなと思っています。
ー高知らしさ、ですか。
宇都宮さん:高知って生活の場としては魅力的で、面白い移住者が多かったり、高知出身の方も満足感を持って生活している方が多いなと思っています。
一方、仕事でいうと妥協することもあるのかなと。
「やりたい仕事がない」、「職場の空気が保守的だ」など仕事についてお悩みをよく耳にします。
高知出身の人でも、高知は好きで「いつか帰りたいけど、仕事がなさそうなので帰れない」という人が多そうですよね。
シェアオフィス相川の廊下
ー確かに、お給与の面もそうですが、望む仕事さえあれば「Uターンしたい!」という方はよく聞きます。
宇都宮さん:であれば、仕事をつくってしまえばいいと思っています。
新規事業って自分の意思をベースにしたものなので、「やりたい仕事」そのものですよね。
高知の企業に入ってすぐに新規事業にチャレンジできるかどうかは企業さんによりますが、新規事業に取り組みたいと話す経営者さんは多いです。
高知にUターンして、自分のやりたい仕事を作るくらいの気持ちで考えてみるのも良いのではと思います。
ー「無いならつくればいい」ですか。
宇都宮さん:その通りです。自分としては、その「創る」のできない理由を一つ一つ取り去って、たくさんの人に「0から1をつくる楽しさ」を知ってもらえるようなお手伝いをしていきたいですね。
なんで土佐町?そして、もう一つの顔
ー「アルファドライブ高知」は、そもそもなぜ土佐町に設立されたのでしょうか?
宇都宮さん:率直に「これから土佐町が面白くなっていきそう」と感じました。
土佐町は人口4000人弱の大きくはない町なのですが、ICTを取り入れた先進的な教育が行われていたり、NPOの活動が盛んだったりと以前から活発な動きが起こっている場所です。
そういう場所にはやっぱりキーパーソン的な人が何人かいて、その人たちを中心に土佐町がどんどん面白くなっていきそうな兆しを感じました。
シェアオフィス相川
ーこれからの可能性を見出された、ということでしょうか。
宇都宮さん:はい。高知市ではなくあえて土佐町に設立をすることで、地域の皆さんと一緒になって何か新しい価値を創造できる、そんな可能性を感じました。
ーありがとうございます。
話は変わりますが、アルファドライブ高知とは別に会社を設立されたと聞きました。
宇都宮さん:はい。「株式会社Left hand」という会社を設立しました。
ーLeft handでは何をされているのでしょうか?
宇都宮さん:今はいくつかのコンサルティングの案件をやらせていただいていますが、まだ事業内容として「これ」というのを決めていません。
何かをしたいと思った時にすぐ事業化できるように、先に箱を作ったような感じです。
新規事業開発の支援をする一方で、自分自身も起業家として挑戦するためです。
ー今後何を展開されるのか、気になります!
趣味は海外旅行
ー海外旅行がお好きと聞きました。何カ国くらい行かれたことがあるんですか?
宇都宮さん:はい。これまでに70カ国くらいは行ってます。
学生の時に、1年休学して世界一周してました。その時に30カ国くらい周ったと思います。
ーそれはすごいですね!ここ2〜3年で行かれた国はありますか?
宇都宮さん:結構ありますね。笑
スリランカ、バングラディッシュ、キューバ、メキシコ、南アフリカ、ボツワナ、ザンビア、ナミビア、パキスタンとかですかね。
ー最近だけでもすごい行かれてますね!旅先では何をされてるんですか?
宇都宮さん:やることが決まっているパックツアーに参加することはなくて、有名な観光地も興味が沸かなければ行かないこともあります。
行ったら必ずすることとして、現地の大きめなスーパーに行きます。
外国スーパーのイメージ画像
ースーパーですか。またなぜですか?
宇都宮さん:その国で何がよく食べられているのかとか、どんな野菜があって幾らするのかなど、現地の生活が垣間見えるので、統計情報みたいな表面的な情報とは別に、リアルな国の姿を見れます。
ーなるほどですね。あえてそこに注目される意図は何かあるのでしょうか。
宇都宮さん:自分自身の仕事にも繋がるのですが、自分の知らないコト・モノを知るという好奇心や探究心が自分のモチベーションの源泉だと思っています。
なので現地のスーパー事情みたいな、ガイドブックには載っていないような場所やモノを知れることが楽しいですね!
ー未知のことを知ることが、最大のモチベーションになっているということですね。
ちなみに印象深い国や好きな国はありますか?
宇都宮さん:中東が好きで、特にイランが印象深いです。
中東というだけで怖いイメージがある中、いざ行ってみると全然違いました。
いろんな国を見てきた中で、一番フレンドリーで優しい人が多いと感じましたね。
ーそれは意外ですね!
宇都宮さん:外からのイメージと、実際に行って体験するとでは全然違って、やはり自分の足で行って、自分の目で見て感じる良さが旅行にはあると思いますね!
ーイラン気になります!高知の“おきゃく文化”に近いものがあるのかもですね。笑
宇都宮さん:言われてみるとそうかもしれません。笑
イスラム教の国だからお酒は飲まないんですけど。
実際にイランへ行った時の写真 宇都宮さんのFacebookより引用
どんなヒトと働きたいか
ー将来採用する人材として、どんな方と働きたいですか?
宇都宮さん:企業さまそれぞれの可能性を信じれる方でしょうか。
できない理由を探すのではなく、できる理由を考えれる方がいいですね。
「どうしたらできる」「これができる」と、顧客や課題に向き合って一緒に考えることができる方がいいですね。
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