「うちの会社では雨水をろ過して使っています」100年先まで見据えるサステナブルな建築企業「株式会社相愛」の秘密とは?

◆100年先を見据える企業ビジョン
◇社屋にまで徹底的にこだわる姿勢
◆老舗として60年築いてきた信頼と実績

高知市の中心街から30分ほど。

企業の事務所があるとは思えないような山の中に株式会社相愛(そうあい)の本社はあります。

なぜこのような場所に本社を構えているのでしょうか?

100年先まで見据えた壮大なビジョンに関して、社長の永野さんと、エコデザイン推進課長 三木さんにお伺いしました。

株式会社相愛は老舗の建設関連企業

---早速ですが、相愛さんはどういった企業なのでしょうか?

「サステナブルな未来へ導く、リーディングカンパニーをめざして。」というテーマのもと、建設関連事業・地域コンサルティング・地質バイオマス事業の3つの事業を柱にしています。

創業時から地質調査等の建設関連業を主として先代の社長(現会長)のころからやって行きましたが、先代の社長が欧州視察に行った際に「測量などの仕事は縮小していく世の中の流れになる」ということを強く思い、創業以来取り組んできた建設関連事業以外の事業にも拡大し始めました。

※サステナブル(Sustainable):人間・社会・地球環境の持続可能な発展のこと。
現社長の永野さん

例えば、地域コンサルティング事業では、「全国平均よりも10年早く人口減少と少子高齢化が進んでいるといわれる高知県において、新たな持続可能な産業を興し魅力的な地域にしていく取り組みは不可欠」という考えのもと地域イベントの企画から運営まで行なっています。

現在では、サイクルイベントやトライアスロンといった複数のスポーツイベントをお手伝いするようにもなっています。
第6回四万十・足摺無限大チャレンジライド(株式会社 相愛Facebookより)

また、「海外の化石燃料に頼るのではなく、地域にある木質(もくしつ)資源を利用して地域経済を回す。」という考え方のもと行なっているのが木質バイオマス事業です。

グループ会社のグリーンエネルギー研究所と一緒に取り組んでおり、重油の代わりに木を燃やすことで、地球温暖化を防止しながら燃料費の削減もできる暖房システムを開発し農家さんをはじめ、県内外でご利用いただいております。

株式会社 相愛HPより

3つの事業は「サステナブル」「地域に貢献していく」という共通の考えのもと、運営されています。

---なるほど!1本の軸に沿って、すべきことをやってらっしゃるのですね。1事業ずつ詳細をお伺いしたいのですが、創業時からの建設関連事業は具体的にはどういったことをされているのでしょうか?

建設関連事業は当社の中核となる事業です。

具体的には、地質調査や水資源調査、測量や設計などを行なっています。
株式会社 相愛HPより

技術士 12名、技術士補 11名、RCCM 15名、工学博士 2名、GRE(地質リスク・エンジニア) 2名、1級土木施工管理技士 20名、地質調査技士 19名、VEリーダー 1名、測量士 9名、測量士補 2名、地すべり防止工事士 15名、地質情報管理士 5名、第二種電気工事士 2名、ビオトープ施工管理士2級 2名といった各分野の専門家が多数在籍していますね。

創業61年の中で培ってきた技術・ノウハウを活かして地域の皆さまの生活を支えていきたいと考えています。

サステナブルと地域貢献がテーマ

---技術者の方の数がすごいですね!こういった分野と、先ほど紹介していただいた地域コンサルティング・イベント運営なんかは関連性が見えてこないような気がするのですが・・・。どういった経緯で始められたんでしょうか?

正直言いますと、始めは社員の思いつきに近い発想だったんですよ笑

地域を元気にできればと思いながらも、半ば半信半疑で始めたのですが、そこから広がったという感じですね。

実際にやってみると、他に県内でこの分野に力を入れている企業は少ないんですよね。

それに、高知の自然は豊かで傾斜地も多いので自転車を乗る方ににも人気の場所があり、トライアスロンのイベントには某有名IT企業経営者や某女優さんなんかも参加してくれましたね。

---社員の方の思いつきを事業にしてしまうというのは凄いですね!マラソン大会にも社員の皆さんで参加されたとお伺いしたのですが?

そうなんですよ!社長は毎月200kmぐらい走っているらしくて笑

エコデザイン推進課長 三木さん

マラソンは、有志でやっているんです。

2kmずつ走るリレーマラソンなのですが、全社60人のうち16人も出ましたね。

社長は走るのに慣れてるけど、僕たちはもう大変。

打ち上げやってもジョッキを持つ手が震えるし、お酒飲んだらすぐに酔うし、すぐに寝れちゃうよ笑

事業部をまたいで各課から出てくるので、部署間の連携も強まります!

---トライアスロンイベントを企画したり、有志でマラソンに出たりとスポーティーですね!
最後に、3つ目の事業である、木質バイオマス事業はどうして始められたのでしょうか?

始めに申し上げた、「サステナブル」「地域に貢献していく」というところが大きいです。

高知は森林率が84%となっており、ドンドン木が伸びていってしまっている状態なんです。

本来活用できる資源が有効に活用されていないとも言えるんですよね。

なので、切った木を熱エネルギーとして利用できる木質ペレットや薪を製造販売してます。

株式会社 相愛HPより

クリーンエネルギーというのも色々ありますが、木質バイオマスは地域に雇用を生み出せる点も良いと思っています。

というのも、例えば太陽光は設置して終わりですよね。
それに、仮に20年で廃棄となってしまっては大量のゴミが出るだけになってしまいます。

その点、木質バイオマス事業というのは木を切ってくる方から運ぶ方、電力や燃料に変換する過程も含めば50人、60人という雇用を長期に渡り地域に生むことになるんです。

自然に優しい考え方で作られた本社

---なるほど・・・。始め聞いた時は各事業がバラバラに思えましたが、「サステナブル」「地域貢献」というワードで全て繋がっているんですね! そういえば社屋も木がふんだんに用いられていますね!

そうなんですよ。

先代の社長が、本社移転の際にこの社屋を建てました。

というのも、当時、職員が100人以上いて、駐車場をどうしようか?という話があったようなんですね。

市内のビルに移転という話もあった そうですが、これから「サステナブル」をテーマにしていくのに、環境の良い場所にした方が良いのではないか?という考えに至ったそうでして。

街にも近くて良い場所は無いかと、今の所在地よりさらに山奥の方にも土地を探しに行っていました。

この現本社は車がないと来られないですし、社員の反対もありましたが、コンセプトをしっかり決めて作りました。

建物が将来朽ちて廃棄するときも廃棄物が極力出ない仕組みにしているんですよ!

また、水道が来ていないので雨水をろ過して使っていますし、下水もないので施設内でろ過して地中で発散させる仕組みになっています。

ガスも使っていなくて、電気・ネットだけ引いていますね!

---水を自給しているオフィスって凄いですね! サステナブルな3つの事業をやりつつ、オフィスにもこだわっていると思いますが、会社として目指す方向などはあるのでしょうか?

むやみに規模を大きくしていこうとは思っていません。かといって縮こまるつもりもありません。

グローバルマインド・ローカルアクションというのを意識していますね。

現在の日本は人口減などの問題を抱え経済的に大きく成長していくタイミングではないと思っています。

時代の変遷にいるわけですから、今までのように大量に作って大量に使うような社会から脱却しなきゃいけないはずなんです。

そこで必要になってくるのがサステナブルな循環型社会ですよね。

100年後を見据えた事業運営

---グローバルマインド・ローカルアクションですか・・・。広い視野を持ちつつも、しっかり地に足をつけて一歩一歩進んでいくということですね。
やはり自分たちが事業を営む高知でアクションするというお考えでしょうか?

そうですね。高知に対する思いは強いです。

東日本大震災の1年後に津波で流された地域に行ったのですが、住宅があった場所が基礎だけになっていました。

災害廃棄物が無造作に積み重なり、廃棄物を処理する建物が立ち上がり、毒性が強い物質を海に流してしまう・・・。

今はそういう社会になってしまっているんですよね。

株式会社グリーンエネルギー研究所HPより(森林資源の有効活用する施設)

でも、万が一高知で南海トラフ地震が起きた時に同じことを繰り返してはいけない。
100年後に、「なんてことをしてくれたんだ」と子や孫の世代に言わせてはいけないです。

---100年後・・・・。ものすごく長いスパンで考えているんですね。

私たちは先々代から、もう60年この地域で仕事をしています。

そういった意味では、地域を自分たちでどう作れるか?をずっと挑戦しているんですよね。

100年経てば人も社会も変わるし、組織として人を育てながら事業を持続していけば企業として社会への役割を果たしているはずです。

そうなれば終わっても良いかなと正直思っています。

また、大きく儲けるつもりもなくて、儲けた分は地元に返そうと考えています。

株式会社 相愛HPより

創立60周年の時には、地域の地質と自然環境の関わり・特徴を解説した「環境看板」の寄贈・設置、そして50周年記念事業「ホルゼ50」で県内50ヶ所に寄贈・設置させていただいた手押しポンプ付き井戸を改めて交換・寄贈させていただきました。

今後もサステナブルという軸で、高知の環境や地域を良くしていきたいですね。

会社のビジョンと現場の考え

---かなり壮大な展望を掲げていらっしゃると思うのですが、従業員の方はどのように捉えていらっしゃるのでしょうか?

みんな理解しているというか・・・。

共感してくれている人じゃないと長く働き続けられないと思います。

サステナブルな社会を作る・地域貢献するということを自分ごととして捉えられる人が長く働いていますね。

また、社員の発案からトライアスロンのイベントが生まれたように、なりたい自分をイメージで出来れば、新しいことにも挑戦できる環境だと思います。

---なるほど。やはりビジョンとマッチした人材が長く活躍できるということですね! 三木さんご自身も社長が描いているビジョンに共感されているのでしょうか?

そうですね!

僕は転職組ですが循環型社会・持続可能な地域づくりをしていきたいと言う思いに共感して入社しました。

今後は、高知という場所の中で熱と電気を自活できる地域を作っていきたいですね。

お洒落に言ったらスマートコミュニティって言うんでしょうか。

再生可能エネルギーを活用する際も、「高知県だからできる」っていうのが必ずあると思うんです。

今後入ってくる人にも「高知だから」「相愛だから」できることを探して欲しいですね。

後付けでも良いんですが!

株式会社相愛が求める人材

---三木さん始め、同じ方向を向いて走っているのが素敵ですね。
ちなみにスキルとしてはどういう人材を求めていますか?

例えば、建設関連業は経験と資格がないと県や国と仕事ができないのですが、既に資格を持っている人は少ないので土木の経験者じゃなくても良いし、文系出身でも良いです。

それよりもビジョンに共感してもらっている事の方が大切かな。

大きな組織ではないので調査・工事・維持管理まで1人でやる場面もありますし、実際の仕事は地味ですから。

また、地域コンサルティングの仕事でも、瞬間的にイベントで地域に貢献できているやりがいを感じる事ができるのは醍醐味だと思いますが、それまではずっと準備なので、広告PR会社みたいなの想像するとギャップがあると思います。

第5回四万十・足摺無限大チャレンジライド(株式会社 相愛HPより)

なので、スキルをみるというよりは、事前にしっかりとすり合わせることを大切にしています。

実際に何度も面談を重ねた方が長く働いていますね。

バイオマス事業は今は人が足りていますが、今後は燃料配給先も増えていくから営業も配給もできる人がいると助かりますね。

---なるほど。ビジョンとのマッチングが一番大切ということで。
最後にひとこと頂けますでしょうか。

建築系の仕事は「きつい・汚い・危険の3K」なんて言われてしまうことも多いですが、今後、道路や橋が朽ちて使えなくなっていきます。

そういった場所で踏みとどまって頑張るぞという人が仲間になって欲しいですね。

今後、自然や山のあり方も変わってきますので、やらされているで続く仕事はないと思っています。

一度都市部に出て、地域に戻り、地域で活躍したいという人もいいかも知れません。

当社のビジョンをより深く知っていただくために、オンラインでの面談も対応しますので、気になる方はぜひ一緒に話しましょう。

お互いに納得するまでトコトン付き合いますよ。

 

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ライターの感想
60年続く老舗企業ということで取引先や地域との信頼関係は抜群。 それに加え、サステナブルという先進的な切り口を持ちながら事業をやっており、老舗企業とイマドキ企業の良いところをバランスよく持っているのが印象的でした。 また、100年先を見据える企業だからこそ社員1人1人ともじっくり向きっているのだと思います。
この記事を書いた人
大堀 幹生

大堀 幹生

高知県を中心に活動するフリーライター。 独立前は求人広告の営業・ライターとしてのべ500社以上の採用に携わりました。 お仕事の依頼はTwitterのDMまで!(@OOHORI_bicycle)
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