高知市東部に流れる二級河川“国分川”のすぐそばにある、介護福祉施設グランボヌール。
「それぞれが楽しく気持ち良く暮らしていただくことが何よりの前提」をモットーにされています。
そして、四万十市にある「悠々と流れる四万十川のようにゆったりとした時の流れ」を感じることのできる介護老人福祉施設四万十の郷。
昭和53年に設立、40年に渡り地域の皆様から信頼され、安心して任せられる、二つの大きな特別養護老人ホームを運営されてきた、社会福祉法人南海福祉会さんをお伺いし、それぞれの介護施設で働かれている森国(もりくに)さんと奥野(おくの)さんに取材いたしました。
右上:グランボヌール、左下:四万十の郷
介護職を選んだきっかけと移住
――お二人は南海福祉会さんに就職をされてから、どれぐらいになりますか?
森国さん:専門学校を卒業後、新卒で入職して現在まで働いていますので……13年になりますね。奥野さんは?
奥野さん:私はもう少しで丸9年になりますね。
――離職率が高い介護業界の中、お二人とも長いですね! このお仕事を選んだきっかけはなんでしょうか?
森国さん:介護の仕事をしようと思っていたのは、高校生の時からになります。
おじいちゃん、おばあちゃんっ子として育ってきたので、「介護の仕事をして、お年寄りの役に立ちたい!」と思っていたんです。
なので介護福祉の勉強ができる専門学校に通って、グランボヌールで実習をし、そのまま介護の仕事に就いた、という感じです。
森国さん
――高知には介護関連の施設が多くあるかと思いますが、なぜ南海福祉会さんを選んだのでしょうか?
森国さん:色んな施設の見学をさせていただきましたが、やはり実習の時に見た職場の雰囲気や、働く職員さんを見てきて、ここで働きたいという思いが変わらなかったので、就職試験は南海福祉会しか受けませんでした。
――なるほど、とても魅力的な職場だったんですね!
奥野さんは高知に移住をされてきたとお聞きしていますが、その理由をお聞きしてもいいですか?
奥野さん:はい、私の出身は兵庫県なんですが、母が高知の出身です。
四万十マラソンに毎年参加していて、母の実家があるということもあり移住を決めました。
60km、100kmと走りきることができたため、現在は満足をして、仕事に集中する日々を送っています。
奥野さん
――60km、100kmを走り切るとはすごいですね!四万十市の暮らしはいかがでしょうか?
奥野さん:そうですね、四万十市はやっぱり空が綺麗で夜には輝く星が見えますし、お世話好きな方が多くてすごく温かいです。
あと思っていたよりもぬくいのもいいですね。笑
おかげで、高知での生活をすごく楽しめていると思います。
――そういった言葉をいただけると、嬉しいですね!
お仕事について
――森国さんは13年間働かれているとのことですが、同じ部署で働かれているのですか?
森国さん:私が働いているグランボヌール内では2階の一般棟、3階の認知症専用棟と分かれています。
その2部門を数年単位で異動するって感じですね。
――グランボヌールでは、利用者の方は全体で何人ぐらいになるのでしょうか?
森国さん:2階の一般棟には最大で50名、認知症専用棟で最大30名となります。
ショートステイでの方も含めると、更に10名で、全体の入居者様は90名となります。
–大きい施設ですね!仕事の流れについて、簡単にお教えいただけますか?
森国さん:そうですね……利用者様の生活を全般的にサポートしています。
具体的には、朝起きる、食事、口腔ケア、お風呂、排泄などのお手伝いをしています。
一人一人に寄り添った介護をさせていただいています。
実際のお仕事風景/提供元:南海福祉会さん
――ありがとうございます、奥野さんはいかがでしょうか?
奥野さん:基本的な流れは同じですが、四万十の郷は利用者様の暮らし方が違っています。
四万十の郷はユニットケアといって、利用者一人一人の生活リズムを尊重した個別ケアをしています。
利用者様のお部屋は全て個室で、80名の利用者様が10名程度のユニット8つに分かれていて、職員はユニット毎に所属しています。
職員がお世話をさせていただくのは10名程度の利用者様なので、利用者様個々の特性を詳細まで把握し、きめ細やかなケアをさせていただいています。
実際のお仕事風景/提供元:南海福祉会さん
人が好きで、人と関わりたい
――お二人とも、10年ほど南海福祉会さんで働いている訳ですが、働きやすいと思うところはどんな所でしょうか?
森国さん:やはり、人間関係がとても良好なところが働きやすいです。
上司はすごく良い人が多いですし、それで長く続けられることが出来ていると思っています。
新しい職員が入ってくれば歓迎会をしたり、若い子たちで集まって、遊びに行ったり、飲みに行ったりもしているようです。
職員ミーティング中の写真/提供元:南海福祉会さん
――人間関係の良さが、働きやすさに繋がっているんですね。奥野さんは全く別の職種から転職をされたとのことですが、どのような仕事をされていたのでしょうか?
奥野さん:今の仕事に就くまでは、キャンプ場の職員として働いていました。
仕事は楽しかったんですが、経済的に安定しない部分があり、転職を決めました。
――異業種からの転職ということで、良くも悪くも入職前と後ではギャップもあったと思いますがいかがですか?
奥野さん:正直に言うと、辞めようと思ったことは幾度となくあります。笑
でも、人が好きで、人と関わるのが好きという理由でこの仕事を選んでいます。
上司や同僚に救われたりして、人とのコミュニケーションを楽しめているので、大変な時はありましたが、実際に辞めるところまで考えたことはありませんでした。
ヒトとのつながり
――仕事のやりがいや、大切にしている想いなどはありますか?
奥野さん:利用者様にとっては施設での生活が全てなので、だからこそその生活に寄り添って、大事にしようと常に思っています。
専門学校などは出てませんが、現場で一つずつ学びながら進めていき、いろんなことを自分の中でモノにできることも良かったと思ってます。
一人で出来ないことは多いし、辛いことはもちろん出てきますけど、ほかの職員との助け合いで利用者様をサポートできることが嬉しいです。
逆に利用者様に助けてもらうこともあります。やればやるほど、人とのつながりが増えていくところにやりがいを感じていますね。
――「人とのつながりが増えていくところにやりがいを感じる」って素敵ですね。
森国さんがやりがいを感じる所ってどんな所ですか??
森国さん:目の前の業務だけを見たらしんどいなと思うことはあるんですが、やっぱり人と接することが楽しいです。
利用者様からお叱りを受けることもあるけど、逆に教えてもらったりすることもありますし、感謝してもらえると嬉しいですね。
「明日が当たり前じゃない」「大変=大きく変わること」
–仕事での印象深いエピソードがあれば教えてください。
森国さん:あまり明るい話ではないですが……専門学生の実習の時に、よくお話しをしてくれる100歳の男性の利用者様がいらっしゃったんです。
俳句が好きで、俳句の会にも参加するような元気なおじいさんでした。
ある日、おじいさんから俳句を見せてもらうという約束をしたんですけど、いつ頃にするかは決めてなかったので「明日で良いか」という思いで、実習が終わった後そのまま帰ったんです。
それで次の日実習に行ったら、その時には既に亡くなられていました。
「昨日はあんなに元気だったのに」って、思いました。そのときに、明日が当たり前じゃないと知ったんですよね。
森国さん:それが、後悔として今でも強く残ってるんですが、それをきっかけに利用者様のその日の食事、お風呂が最後になるかもしれないって、常に頭へ置くようになりました。
明日が当たり前に来る訳じゃないからこそ、最後まで寄り添いたいなって。
この仕事において凄く大事なことを教えていただいたんじゃないかなと思っています。
――とても印象深いお話ですね。年齢関係なく、今を生きる私たち自身にも大事なコトと思います。
奥野さん:よく介護職は「大変でしょ」って言われますけど、私はこう考えるようにしてます。
「大変」は「大きく変わること」なんだから、「良い方向に変わっている」って思う様にしてます。
そうしたら本当に大変なことも、案外乗り越えられたりするし、実際良い方向に変わることの方が多くなってると実感してます。
趣味はハンドメイド、旅行
ーー休みの日はどのように過ごされていますか?
奥野さん:休みの日は基本的には寝ていることが多いですね。笑
それ以外では、物を作るのが好きなので、施設の部屋の飾りなどを作ったりしてます。
時には周りの人と一緒にやったりすることもありますし、交流を深めるって意味でも良い趣味だと思っています。
――職場にも繋がる、すごく良い趣味ですね!
身体に負担がかかる仕事もあると思うのですが、気を付けていることなどはありますか?
奥野さん:帰ってからストレッチをするようにしていることと、そもそも身体に負担がかからないように工夫していますね。
実際に作られた飾り付け
ーー自身をケアしながら仕事をするのは、本当に大切ですよね。
森国さんは休みの日にはどんなことをしていますか?
森国さん:映画が好きで、観に行くことが多いですね。
あと旅行が好きで、旅行に行くときは連休を取って遊びに行くことが多いですね。
ーー旅行いいですね!近いうちにどこかへ行かれる予定はありますか?
森国さん:友だちと東京のイルミネーションを見に行こうと思っています。笑
求める人材
――南海福祉会さんで働くなら、どのような方が向いていると思いますか?
奥野さん:人のちょっとした機微に気付ける方が良いと思っています。
思いやり、気遣いなどを言葉だけでなく、心で感じ取れる方に来てほしいです。
森国さん:やっぱり「人が好き」って方が向いていると思います。
そんなことを言っている私自身、一人が好きなところもあるんですが、出会いやご縁というのはそう多くあるものじゃないという思いもあるので、そういった縁とか繋がりを大切に出来る方が良いと思います。
――「心で感じ取れる」「人が好き」という方ですね。
最後に、南海福祉会さん全体の、共通で持っている意識などがあれば教えてください
奥野さん:介護の従事者として、利用者様のお世話をさせていただくという意識があります。
森国さん:仕事の中で、効率化して良いところと悪いところがあって、例え効率化しても、「ではその分、何ができるか」という思いが大事だと思ってます。
奥野さん:ご家族の方も一人で介護をするのが難しいから、私たちに頼んでいますが、私たちも一人でできるわけではありません。
チームとして、みんなで分担してやっていく意識は常にもっていますね。
――まさにワンチームですね!決して一人で出来る仕事ではなく、チームで助け合いながら進めていく仕事だということがよくわかりました。
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