世界一薄い抄紙技術、高知県に4つの工場をもち、合成繊維紙を製造する「廣瀬製紙株式会社」。
「変わっているね。」が褒め言葉で、変わっていることを大事にしているからこそ変わったモノを生み出し続けられると言います。
今回は、オンリーワン技術で世界に挑み続けているこの会社の仕事内容、働き方について、取締役の馬醫さん、山本さん、楠瀬さんにお話を伺いました。
廣瀬製紙はどのような会社?
ーーはじめに、御社が何をされている会社なのか教えていただけますか?
馬醫さん:BtoBの事業なので「廣瀬製紙」という名前はあまり目には触れないのですが、実は身近な物に使われている物を作っています。
例えばテレビのリモコンに入っている乾電池のセパレーター、マスクなどに使われている特殊な紙(不織布)を作っています。
業務用だと海水を淡水化する飲み水や工業用排水などの濾過に使われているフィルターが最近多くなってきていて、海外売上比率は約8割と年々増えています。
取締役 馬醫さん(グループ会社 テクノヒロセ株式会社の代表取締役も務められる)
ーー8割も!なぜ海外売上の比率が年々増していらっしゃるのでしょう?
馬醫さん:もちろんマーケット調査を含め、戦略的に展開してます。海外企業はスピードが早く、小ロットでスタートできるのが一つ要因です。
ーー競争が多くあると思いますが、その中で御社が勝てる理由ってなんだと思いますか?
馬醫さん:付加価値をつけることを大事にしています。
例えば、他社ができないくらい薄い製品を作って、実際に製品化される工程でコンパクトに使ってもらえるようになったりなど。
それでお客様に活用していただく範囲が広がります。
ーー求められている以上の価値を提供することを常に考えられているのですね。
馬醫さん:そうですね。
今は直接クライアントと取引することも多くなり、早く商品を出して検証をしたりと、生の声を商品に反映させることができるようになっています。
こだわりの技術で作られた世界最薄の不織布
ーーヨーロッパにも会社があるようですが、こちらはどのような役割なのでしょうか?
商社の役割を果たしていて、日本で作った製品を海外で売る仕組みになっています。
日本から1名駐在をしており、私も年に数回はドイツに行っています。
業界オンリーワンの技術を支える、現場での働き方とは?
続いて、現場で作業をされている山本さん、楠瀬さんにもお話を伺いしました。
山本さん(左)、楠瀬さん(右)
ーーお二人はおいくつでしょうか?
山本さん・楠瀬さん:ふたりとも29歳で、今年30歳になります。
ーーどのような仕事をされているのですか?
山本さん:私は生産技術チームに所属し、日々の機械の保全点検をしています。
工場の中にある機械でトラブルが起こらないように整備をしているのと、工場に新しい設備を導入をする際の計画や設計を担当しています。
ーー点検というと、定期的に行うのですか?
山本さん:点検は1週間に1回、長い時は2週間に1回振動の測定を行います。
ーー振動の測定、、、一体どういうものでしょう?(笑)
山本さん:ポンプの中にベアリングと言って、分かりやすくいうと「ハンドスピナー」みたいな大事なところがあるのですが、それが壊れていないか振動を測定します。
複数工場があるので、各工場を回って点検をしています。
ーー他にはどのようなお仕事を担当されていますか?
山本さん:各工場から既存の設備に対して「使いやすくしたい」と言う改善要望が上がってくるので、その対応をします。
具体的には機械の場所を変更したり、設備の取り付け変更、例えばカバーが大きすぎて作業をしづらい場合はそれを小さくしたりなど様々です。
ーー新しい設備の選定頻度はどのくらいあるのでしょうか?
山本さん:設備導入としては、大きいものだと年に1・2回くらいです。
目的や予算に合わせて設備の選定や計画を行うので、他の部署と協力することもあります。
お仕事中の風景
ーーなるほどありがとうございます。
では、楠瀬さんのお仕事について教えていただけますか?
楠瀬さん:抄紙(しょうし)製造チームに所属し、原料から生産工程で一番最初の紙を作る作業をしています。
工程としては「原料を機械に入れて、薬品を投入し、その後いくつかの加工工程を経て、流れてきた物をロールにして出来上がり」、という生産ラインになっています。
その工程の中で、機械から出てきた物を目視で点検する作業です。
たまに、作る紙の種類によって、加工する機械に取り付けている部品(フェルト)が変わるので、それを取り換える作業もあります。
ーー目視での作業が多いのですね。
楠瀬さん:そうですね。
目視以外の仕事としては、紙になる原料を装置に投入し、薬品を溶かして入れる作業が何時間かに1回発生します。
次の工程は別の方がいるので、そこまでが担当になります。
ーーお仕事をするにあたって、特別な資格は必要なのでしょうか?
楠瀬さん:物や機材を運ぶ為に、フォークリフトやクレーンの資格など色々持っています。
それがないと仕事ができないと言うわけではないですが、持っているとできる仕事の幅が広がりますね。
異業種からの転職。おふたりが入社された理由は?
ーーおふたりは新卒でこの会社に入られたのですか?
山本さん・楠瀬さん:ふたりとも転職です。
ーーへー!以前はどのような仕事をされていたのですか?
山本さん:今は入社して7年目で、以前は建設系の会社で制御システム課にいて、ソフトウェアや電気の設計の仕事をしていました。
ーー楠瀬さんはいかがですか?
楠瀬さん:入社して6年目で、以前は県外の造船会社にいました。
ずっと製造現場にいたので、いくつか資格も取得しました。
ーー転職されて廣瀬製紙を選んだ理由を教えていただけますか?
山本さん:ハローワークで色々と探していたが、ちょうどエクセニア工場ができたばかりで、これから成長をしていく会社だと感じました。
それと、「世界最薄」という技術力も魅力でした。
エクセニア工場
山本さん:あとは自宅から通いやすいところですね。笑
ーーなるほど。笑 楠瀬さんはいかがですか?
楠瀬さん:地元に帰ってきて地域貢献をしたいのと、自分の持っている資格を生かした仕事をしたいと思い、この会社を選びました。
須崎工業高校を卒業した後、県外で働いていましたが、地元高知への貢献がしたいという想いで高知に戻ってきました。
ーーお二人からみた、この会社の良いところってどんなところですか?
山本さん:入社した時から、人間関係が良いです。
役職や年齢関係なく、自分の意見は言いやすいです。
設備導入の提案を会社で取り入れてもらったこともあり、若手でも提案したことは会社としてちゃんと検討をしてくれるという印象があります。
楠瀬さん:私も同じで、上司の方達が話を聞いてくれるのは良いところだと思います。
山本さん:例えば、現場はシフト制の勤務体系ですが、相談しやすいです。
子どもの送り迎えで勤務時間をずらしている人もいて、そういったところで融通をきかせてくれる職場ですね。
ーー逆に、会社の課題としては、何か感じることはありますか?
山本さん:若い世代が少ないことですね。
現場作業者はベテラン勢が多く、私が入社した当時は40代、30前後、20代前半、という感じで自分たちの世代からかなり間が開いていました。
今は大丈夫なのですが、将来的に人材が不足しないかが課題だと感じています。
ーーなるほど。
山本さん:あとは、楠瀬さんのいる製造現場は二人体制なので、教育のことを考えると早めに三人体制にして、余裕があるようにした方が良いのかなとも思ったりしますね。
だからこそ採用強化に力を入れているということがあると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=c3Os6R7o2os&t=56s
Youtube動画なども積極的に取り組まれています
同世代同士仲が良い?プライベートの過ごし方
ーープライベートや会社で飲みにいくことは多いですか?
山本さん:仕事終わりだとなかなかないけど、同年代の仲良いメンバーでボウリング大会をしたり、飲みに行ったりしています。
会社として決まっている飲み会は特にないですね。
ーーそれはいいですね!おやすみの日はなにされていますか?
楠瀬さん:野球、釣り、ゴルフ、たまに走ったりしています。
もともと野球部なので、友人と集まってやっていますね。
ーー釣りはどの辺でやるんですか?
楠瀬さん:会社の年上の方がよく誘ってくれるのですが、磯釣りやケンサキイカを船に乗って釣りに行ったりしてます。
ーー会社の方が誘ってくれるのですね!山本さんはいかがですか?
山本さん:体を動かすのが好きなので、スノボをしたり、会社のマラソン部に入って走ってます。
結構本気なので大変ですが。笑
あとは、友人と飲みに行ったりとか。
ーーみなさんアクティブですね!他に部活はあるんですか?
山本さん:マラソン部の他に、海釣り部、水泳部、ツーリング部があります。
部活だと1ヶ月一人当たり1,000円活動費が出ます。
同世代どうし仲が良いのも特徴
廣瀬製紙が求める人材とは?
ーーおふたりから見て、こんな人が向いている、一緒に働きたいという人物像はありますか?
山本さん:ふたりとも違う畑からきているので現時点の知識は関係ないのですが、考えて動ける人が向いているかなと思います。
楠瀬さん:あとは、自分の意見を言える人。
考えたことを形にするために、しっかりと意見を言ったり相談をしたりできる人が良いです。
ーールーティーン作業をする上で、トラブルに対応したり、もっと良くするためにはどうしたらいいかなど常に考えながら動ける人ということですね。馬醫さんはいかがでしょうか?
馬醫さん:会社が掲げている今年のテーマは「チャレンジ」です。
その通り、チャレンジする人に来て欲しいですね。
既存のやり方にとらわれず、新しいことを考え、行動できる人。
例えば日々の業務の中でも、もっと良くできそうなことを考えやってみたり、例え失敗しても次の手を打てるような人と一緒に働きたいです。
廣瀬製紙の今後は?
ーー会社としての、将来の展望を教えてください。
馬醫さん:今力を入れているのは会社のブランディング、ファンを作ることです。
ファンとは、お客様、地域の方々、社員のことで、みんなが楽しく、集まってくるような組織を作るべく取り組んでいます。
そのために「廣瀬らしさとは何か」を追求し、訴求していかないといけないと思っています。
事務所には数々の受賞履歴も
ーー経営面ではいかがでしょうか。
馬醫さん:既存の工場で付加価値を高める商品を作り、それに置き換え、同じ生産量でも売上があがるようにしたいです。
単に生産量を増やして利益を出すよりかは、ニッチトップ企業として、価値を上げることをやっていきたいです。